PURPLE
鈴木幹雄『命の記憶 ─ 沖縄愛楽園1975』
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写真家・鈴木幹雄(1949-)は、今から50年前、「本土復帰」から間もない沖縄県名護市にある国立療養所沖縄愛楽園を訪れました。ハンセン病の回復者・患者たちが隔離のなかで生き、日々の暮らしを営む姿を、鈴木はカメラで丁寧に記録しました。
差別や偏見が根強く残る社会の中で、一般の入所者が顔や名前を明かすことは極めて困難でした。それでも鈴木の写真には、孤独や悲しみと向き合いながらも、自分の人生を少しでも豊かにしようと懸命に生きる人々の姿が映し出されています。
2025年、撮影からちょうど半世紀を迎える節目に、本書『命の記憶─沖縄愛楽園1975』が刊行の運びとなりました。
鈴木は愛楽園を撮影しようと訪れたものの、初めのうちは入所者にカメラを向けることができず、距離を置いて撮ったり後ろ姿を撮影するばかりでした。転機をもたらした入所者の言葉を、鈴木は日記にこのように綴っています。
「二人の入所者が『兄さんここにライの写真を撮りに来たんでしょ、これがライよ撮りなさい』と両手を出す。驚いた。カメラを向けシャッターを切ル。初めて正面から撮る。緑勇さんと **彦一さん。」(本書収載「撮影日記」より。**は伏字)
やがて食事や酒宴を共にしながら、入所者ひとりひとりのポートレートと生活が生き生きと写し出されていきます。
同時に、日記には、撮ることの重みに直面するエピソードや逡巡が綴られてもいました。
本書は、沖縄愛楽園に生きる人々の貴重な記録が普遍的な営みとして私たちに手渡されたものであり、ひとりの若き写真家が、見ること撮ることについて考え行動した記録でもあるのです。
50年という時間が、今を照らし出す一冊となることを願います。
巻末に、作品リスト / 「撮影日記」鈴木幹雄 / 略年譜 / 「はじまりの場所」倉石信乃 / 「愛楽園撮影の道程」辻央 / 「復帰三年めの愛楽園」鈴木陽子 収録。
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