DAWN #20
作品概要
山内悠は、富士山七合目の山小屋(標高3000メートル)で600日間暮らし、眼前に繰り広げられる「夜明け」の光景を撮り続けてきました。
地球と宇宙の境界線、雲平線の彼方に日が昇り、色づく雲海。躍動する雲。それはあたかも地球という惑星の細胞に命が吹き込まれ、呼吸する姿そのもの。神秘的で美しい光景の数々は、まさに一期一会。私たちの頭上には、常にこうした光景が存在しているのです。
宇宙と地球の狭間に広がる光景をまえに、私たち自身の存在を、その生命体としての在り方を体感するプリント作品。
「夜明け」に寄せて 山内悠
これは雲の上の夜明けを撮影した作品になります。
標高3000メートルにある富士山の山小屋に600日間滞在して撮影を行いました。全て同じ場所から撮影し、その定点で変容し続ける地球の様子を追いかけました。
雲の上。
僕たちが生活する頭上に確かに存在する世界。
そこは地球と宇宙の狭間であり、無限の宇宙空間とその中にある地球という惑星を心身で感じることができる。雲は地球を覆う膜のように思え、常に刻々とその姿を変えて行く。そして、その彼方にある雲平線より日が昇り夜明けが訪れる。ブルーで一色だった空間が 一瞬にして全く違う世界になる。僕はこの魔法のような瞬間を幾度と体験した。雲平線より昇り出した真っ赤な太陽はみるみるうちに輝きを増し、眩しい光へと変わる。光が照らしはじめた瞬間、すべてが動きはじめる。空気は暖かくなり、風向きは変わる。雲も色を変え続け、その下からは鳥達の騒ぎ立てる鳴き声が微かに届く。そこにいる僕はまぎれもなく高揚している。空間が一体となって目覚める。この瞬間、僕は光とは何であるのかと考える。
それは愛というエネルギーの現れなのかもしれない。
すべては人間の生死、地球の周回をも越えた宇宙の呼吸である。僕たちはこの呼吸のリズムの中に確実に存在している。社会がどれだけ複雑になろうとも、どれだけ時代が目まぐるしく変化しようとも、この永遠に繰り返すこのリズムを創る未知なる大きな世界にただ存在している。そのように全てを捉えると僕たちもまた未知なる大きな存在であるという事に気が付く。
今、ここに在るということ。 それを改めて感じ、考えていただければ嬉しく思います。
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展覧会後1週間ほどで発送します。
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