中井菜央『雪の刻』(赤々舎)
雪が律する時間、雪が生み出す存在。
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中井菜央は、2015年より毎冬100日を新潟県津南町で過ごして撮影を続けてきました。2020年6月からは、約1年間津南町に滞在しながら撮影。
主な撮影地とした津南町と、津南町に隣接する十日町市、長野県栄村は奥信越と呼ばれ、積雪が多く、世界有数の豪雪地帯です。
この地域に降り積もる多湿で重たい雪の「個性」に惹かれ、中井は雪がつくりだす風景・光景、雪国に生きる人々を撮り続けてきました。
「雪がない時に雪の存在を感じる」
その気づきから見出された、天地の感覚を失うような雪の落下や、どこからともなく浸み出す水の気配。ねじれて進む季節。
緑のうねりとかつての雪は通じ、さまざまな穴に覗く時間の淵や、類を超えて響きあう生命が写し出されていきます。 この地の8000年前からの歴史を抱く地層や土器、森の色の違い、集落の人々の瞳の色。
中井が捉えた、過去も現在も雪によって律せられているその大きさは、私たちの存在を問いかけ、見えない渦へといざないます。
重力や連続性から解き放たれ、凍結したような写真とそれらの構成の中に、雪の重層的な時間の厚みは生まれます。 写真が記録したものがドキュメンタリーを超えて提示する、「雪」と「時間」をめぐる集大成です。
― 出版社説明文より
Book Design: 須山悠里
Size: 255mm × 210mm
Pages: 176 pages
Binding: Hardcover
Published in February 2022
Publisher: 赤々舎
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