PURPLE
TIDE
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関係の写詩 ──
カメラを海に投げてしまえ。
ここに残るもので語るのだ。
(志賀理江子 帯文より抜粋)
「TIDE」 は、古里裕美が2015年から現在に至るまでの約10年間、宮城県石巻市に住むひとりの女性を中心に、共に同時代を生きる人々と、広がる光景、風景へとカメラを向けつづけてきた作品群である。
つかみようのない「現在」に揺らぎながらも、自分たちは生きて存在しているという実感が、写真の中で衝突し、溶けていく。
不確かさの受容から意味を超えて「在る」ことと「現在」の探求を試みる。
本作において印象的なことのひとつは、女性どうしがどの世代においても関係を築き、その結びつきが生の確かな軸となっている姿である。祖母、母、娘、友人、隣人へと静かに受け渡されるまなざしや時間は、個の営みでありながら、たしかに共同の感覚を宿している。
彼女を見つめるその眼差しは、同時にこちらへと返される。
写真のなかで向き合うとき、私たちはどれほど切実に、互いを見返してきただろうか。
海の満ち引きのように、生死や記憶は身の内で絶えず揺れ動いている。
身体の奥から溢れ出るものは、外界の光や風景と呼応しながら流れつづける。
私もまた、ひとつの海である。
「TIDE」 は、そうした内なる潮と外界の起伏が響き合う場として、存在と現在を見つめ直す試みである。
切実さと豊かさが交錯するその像は、個の物語を超え、私たちが共に生きる時間の深層へと静かに開かれていく。
赤々舎WEBサイトより
関係の写詩 ────
撮ったのではなく、撮られたのでもない。
そういうことが問題なのではない。
ここで交差する私たちの存在が、
カメラによって、
過去も未来も現在からも逃げ出して
ひたすらに、その全身を尊くひらかれ、
私とは、何にも囚われようのない、
血の燃えるひとりの
赤い海なのだということを。
私とは、かつて幼く、老いて、死して、
あなたでもあった、ということを。
カメラを海に投げてしまえ。
ここに残るもので語るのだ。
── 志賀理江子(帯文より)
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